今回は、東京で富士登山!
今まで巡った富士塚を、いくつか書き残します。
第一弾は、文京区編!(第二弾があるかは未定)。
江戸市中にたくさんあった富士塚。なかでも文京区には良質な富士塚や由緒のある富士塚が現存しています!
富士塚とは
さては、まず富士塚とはなんぞや?という話。
一言で言えば、主に江戸時代に作られた、富士山を模した人工の山(塚)です。
江戸時代、富士講という富士山信仰が盛んだったこともあり、本物の富士山に登りに行くことができない人でも気軽に富士登山の疑似体験できることから、江戸や関東近郊に多く富士塚が築かれたそうです。
実際のところ、いくつ作られたかは謎。一説によると300以上とか。
ほとんどの富士塚は人工に積み上げて作ったため、地震や戦災、開発で無くなってしまったもの、あいまいになってしまったもの、忘れ去られてしまったものも少なくないようです。
【音羽富士】唯一お寺にある、本格派の富士塚!
音羽富士は、護国寺にあります。
ほとんどの富士塚は神社にありますが、こちらの富士塚は珍しくお寺にあります。
ご丁寧に、音羽富士の案内がありました!
「富士道」には橋がかかり、鳥居をくぐって富士塚にたどり着くという本格派。
まずは1合目。先に何やら小さな洞窟のようなものが見えます。
これは御胎内といい、実際に富士山周辺にも噴火、火山活動で出来た溶岩洞窟がたくさんあります。それを模したのが御胎内。
中をのぞくと、富士山を鎮める女神、木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)が彫られていました。
ここで4歳児が何かを見つけたようです。
よく見てみると天狗です。
これも実際に、富士山五合目に鎮座する小御嶽神社は天狗が祀られているところ(五合目付近は天狗の庭とよばれ、天狗が支配していたといわれている)から、それを模したようです。
頂上まで、もう一息というところに、昔貴族や上級武士がかぶっていた烏帽子に似た岩が。
これも富士山八合目に実際にある、烏帽子岩を模したもの。
富士山にまつわる様々のものを見つつ、頂上に無事到着!
登頂までの時間は1合目から山頂まで、ゆっくり楽しんで登って約4分といったところでしょうか。一気に登れば1分くらいかな。
頂上には、富士浅間神社の祠がありました。
見下ろすと、登ってきた登山道が見渡せます。
登山道がくねくねと蛇行し、とても良く出来た本格派富士(塚)です。
音羽富士(護国寺)
【駒込富士】 初夢の「一富士二鷹三なすび」発祥?の富士塚
現在は本駒込にありますが、もともとは本郷にあった富士神社。
加賀藩百万石前田候の上屋敷が本郷に出来るにあたって、当地へ移転してきたそうです。
余談ですが、東大横の本富士警察署として名前残っているかつての富士町(現在本郷七丁目)は、そこからきているようです。
社伝によると、南北朝時代には既に富士塚があったとか。
こちらの富士塚は、階段で一気に登るタイプ♪
あっという間の登頂です!
一説によると、ここは古墳だったのでは?とする説もあるようです(区の立て看板にも記載あり)。
頂上は、本殿をぐるっと大きく一周できる道があり、富士塚としての規模は大きいです。
夏場に訪れましたが蚊の餌食になりました(泣。夏に訪れる方は虫除けをしてから登山を楽しんでくださいw
そして、ここは初夢に見ると縁起が良いとされる「一富士二鷹三なすび」の発祥の地?とも言われています(諸説あり)。
尾張屋板江戸切絵図 駒込絵図(抜粋) 国立国会図書館デジタルコレクション
- 一富士は、富士神社
- 二鷹は、近くにあった御鷹匠屋敷。現在は都立駒込病院付近)
- 三なすびは、江戸時代、駒込は野菜栽培が盛んだったそうです。とくにナスは上質なものが出来たことから「駒込ナス」として江戸庶民に好まれたそうです。切絵図を見ても周囲に畑や百姓地がたくさんあります。
駒込富士(駒込富士神社)
【白山富士】紫陽花(あじさい)を鑑賞しながら富士登山!
今回最後(もっと載せたかったのですが長くなったので)は、少し変わった富士塚です。
場所は、あじさいで有名な文京区白山、白山神社。
その本殿のすぐ近くに富士塚があります。
あまり説明がないので、富士塚と気づかない人も多いようです。
鳥居にはちゃんと「浅間神社」(浅間神社は富士山信仰の神社)と書かれています。
尾張屋板江戸切絵図 駒込絵図(抜粋) 国立国会図書館デジタルコレクション
江戸時代の切絵図にも「白山権現」の後ろに、「冨士」の記載と山の絵が見えます。
東京都教育委員会が出している東京都遺跡地図を見ると「白山神社古墳」とあります。ここは本当の古墳のようです。
ここの富士塚は、普段は入ることができませんが、紫陽花の時期にのみ開放されます。
紫陽花を愛でながら富士登山ができるという、なんとも珍しい富士塚です。
頂上には、お決まりの祠がありました。
なにやら、お供え物がたくさん。
登ってきた登山道を引き返すのではなく、祠の後方には下山道もあり紫陽花を鑑賞しながら下山できる登頂ルートと下山ルートのあるこちらも本格派の富士塚です。
白山富士(白山神社)
もう少し紹介しようと思いましたが長くなったので、今回はこの辺まで。
ミニチュア富士を築いて登るという、江戸の人々の楽しげな遊び心。
現代人もわくわくさせる、時代を超えたパワースポットでありレジャースポットです!