お出かけいく

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子どもと、お出かけ行く(育)。30代パパによる、子供に何事もリアルに体験させてみようという試み。

応募しただけで著作権譲渡のフォトコンには注意!応募した時点で、自分で撮った写真が自由に使えなくなってしまう?

応募しただけで著作権譲渡のフォトコンには注意!応募した時点で、自分で撮った写真が自由に使えなくなってしまう?

 

以前、このお出かけいくで、「フォトコンテストのすすめ」という記事を書きました。  

www.odekakeiku.com

 

以前書いた記事のように、プリントアウトして応募するタイプのフォトコンではなく、最近はネットから気軽に直接応募できるフォトコンも増えて来ました。

 

写真をたくさん撮って気に入った写真があったら、ぜひ、フォトコンテストなどにどんどん応募してほしいと思うのですが、最近ネットから応募するいくつかのフォトコンの応募要項(注意事項)を読んでいると、著作権の項目に、応募しただけで著作権が主催者に移ってしまうという、今後トラブルになりかねないフォトコンが、いくつかありました。

「フォトコンテストのすすめ」という記事を書いてしまった手前、注意のため少し簡単に記載します。

 

著作権は撮影者にあります

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写真の著作権は、シャッターを押した撮影者にあります。

たとえあなたが、有名なアーティストや写真家ではなくても、あなたが撮った写真であれば、生きている間と、死後70年間は著作権が有効(以前は死後50年でしたが2016年に法改正され、2018年からは死後70年に変更されました)です。

もちろん、お子さんが撮影した写真も、そのお子さんが著作権を有しています。

 また、たとえ著作権が譲渡されたとしても、著作人格権(著作物を勝手に変形されたり、著作者の氏名表示を勝手に省略されたりなどができない権利)までは譲渡できません。

 

パブリックドメイン:作者の死後、70年経つと(厳密には亡くなった日の翌年の元旦から数えて)著作権が消滅する。著作権がなくなったものをパブリックドメイン。

なお、著作権が消滅するまでの期間は、国によって様々です。米国や英国では70年。メキシコでは100年など。

 

 応募しただけで著作権が移ってしまう?

ところが最近応募しようと思っていた、いくつかのフォトコンの応募要項(注意事項)をよく読んでみると

応募した時点で、応募作品の著作権は、無償で譲渡いただきます。

応募作品は、主催者に著作権が帰属します。

というような文言が記載されていました。

いわゆる「著作権の譲渡」です。

 

つまり、応募した時点で入選落選の如何に問わず、あなたの大切な写真は、その主催者に著作権が移ってしまうその写真が主催者の物になってしまうということだそうです。

※当選作品の使用権がフォトコン主催者側にあるというのは、よくあります。

 

恐らくは主催者側の広告などの写真素材のストックとして、いつでも撮影者に無断無償で使用できるように著作権の譲渡を規定しているのだと思われます。

(なにも著作権まで移さなくても、使用権があるくらいならまだいいと思うのですが・・・)

 

著作権がなくなると何が問題か?

著作権を所有していないので、あなたが撮った大切なご家族の写った写真であっても

  • 無断使用→ダメ
  • 落選作品でも他のフォトコンの応募→ダメ
  • SNSやブログでの掲載→ダメ
  • 友人が写っていたのでプリントアウトしてあげる→ダメ(配信もダメ)

などということになりかねません(厳密に言うとね)。

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あるフォトコンの注意事項には、著作権の譲渡という記載だけでなく「応募した時点で、応募作品を無断で使用、利用、公開ができなくなります。」と詳しく書かれていました。 

(しかも中には詳しく、写真に肖像権等で問題があり裁判や損害賠償等が発生した場合は撮影者が全責任を負う、などと著作権をとっておきながら如何なものか?というような主催団体も多くありました。)

 

今回見つけた、著作権譲渡を記載しているフォトコンの主催者は、比較的大きな企業や団体でした。応募作品数もけっして少ないとは思えません。

 

pcon.jpfa.or.jp

 

キラクふれあいフォトコンテスト|キラク・KIRAKU

 

www.sony-ef.or.jp

  

 

本当に応募しただけで著作権が譲渡されてしまうのか?

ただ、写真著作権 第2版(公益社団法人日本写真協会 太田出版)によると、フォトコンで「著作権が帰属する」「著作権を譲渡する」という文言だけでは、実際に著作権が移るかどうかの判断は、難しいところだそうです。

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 しかし、トラブルの元になりかねないので、この種のフォトコンに応募をされる際は気をつけておいた方がいいかもしれません。

 

写真愛好家の間では以前から問題になっていた

自分は写真の撮影歴はそこそこ長いですが、フォトコン応募歴は短いのでよく知らなかったのですが、応募しただけで著作権譲渡されてしまうフォトコンがあるというのは、写真愛好家の間では以前から問題になっていたようです。

日本写真家協会からも注意喚起がされていました。

www.jps.gr.jp

先ほどの、写真著作権 第2版(公益社団法人日本写真協会 太田出版)の巻末にもフォトコン主催者向けに、著作者の意にそわない記載が「写真の著作権及び応募要項に関するガイドライン」が記載されています。日本写真著作権協会のHPにもありました。

 

フォトコンテスト主催者の皆様へ | 日本写真著作権協会(JPCA)

 

 

 最近は、高画質高性能のカメラ付き携帯やスマホも普及し、ネットからも気軽に応募できるフォトコンが増えてきました。

ネットから応募するフォトコンは、その気軽さから、どこも応募者数(枚数)は多いようです。

フォトコンを通じて、自分の撮った写真が認められたり(あと賞金や賞品も、もらえたら嬉しいよね)、その主催するテーマや物事の啓発や発展などに貢献できることは素晴らしいことですが、応募しただけで自分で撮った作品が使用できなくなる恐れがあるとは、健全な写真文化のフォトコンテストとは言えないかもしれません。

フォトコンに応募するくらい良く撮れた写真というのは、撮影者にとっても、写っている家族にとっても、一生宝物にしたい、かけがえのない大切な1枚です。

フォトコンに応募する前に、応募要項を今一度よく確認してから応募されることをお勧めします。

 参考図書:写真著作権第2版 公益社団法人 日本写真協会 太田出版

 

www.odekakeiku.com

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