この記事は、以前掲載し下書きにもどしていた記事を、加筆修正し再掲載したものです。
今回は、ル・コルビュジエの建築として世界遺産に登録されて話題の、国立西洋美術館です。
国立西洋美術館
上野駅公園口から歩いてすぐのところにある、国立西洋美術館。
実業家の松方幸次郎がフランスで収集したコレクションの多くは、戦後フランス政府に差し押さえられてしまいます。戦後しばらくたって、松方コレクションが返還される際の条件として、この国立西洋美術館が建設されたそうです。
まず常設展に入ってすぐ、「19世紀ホール」という彫刻の部屋です。ここが本館の中心で、ここを取り巻くようにグルグルと展示室が続きます。コレクションが増えれば、さらに外側にさらにグルグルと展示室が増築できる「無限成長美術館」を構想して建てられました。
Auguste Rodin The thinker オーギュスト・ロダン 「考える人」
外から、やわらかな自然光が入ります。絵画と違い、立体的な彫刻には、適した光の使い方なんでしょう。よく晴れた日には、ホール全体を明るくするそうです。
スロープも、ル・コルビュジエ建築の特徴の一つです。空間の変化を感じつつ、ゆっくりと楽しみながら上へと移動できるようになっています。
2階の展示室の一部になっているバルコニーも、独特で複雑な空間を感じさせます。
2階展示室は、部屋として独立してあるわけではなく、区切られいない空間が続きます。絵に夢中になっていると、今どのあたりにいるのかと、少し不思議な感じがしてきます。キリスト教、宗教画が続きます。
ピーテル・プリューゲル(子) 「鳥罠のある冬景色」
同名の父の作品の模写です。500年程前の農村の冬の様子でしょうか。凍った川で子供たちがスケートをしています。このような風景画が、個人的には好きなのですが、タイトルが気になりました。鳥罠?
たしかに、右下の雪の積もった所に、鳥の罠があります。これに、どんな意味があるのでしょうか。
絵の、左下の方をよく見ると、川に穴が空いているようです。スケート遊びに夢中になっているが、鳥罠と同じ、日常の危険は常に身近にある。ということを、それとなく示唆しているとのこと。面白いですね。
この作品は色々なヴァージョンが存在するとか。他のも見てみたいです。
続いての1枚は、
ダフィット・テニールス(子) 「聖アントニウスの誘惑」
こちらも、ユニークな魔物や魔女が描かれています。タイトルに見覚えがありました。以前、スタジオジブリの宮崎駿監督が、これとは別の「聖アントニウスの誘惑」を見に、ポルトガルの美術館に行き、その絵から得たインスピレーションで、ハウルの動く城を作る時の参考にしたとか。「聖アントニウスの誘惑」というテーマは人気があり、色々な画家が描いているようです。
FUN DAY ファンデー
いつか本物の絵画を、子供にも小さいうちから見せてやりたい。
しかし、2歳児を美術館に連れて行くには、当然、終始静かにさせていなくてはならず、少しハードルが高いです。
国立西洋美術館ではキッズプログラムのある日があり、ファンデーというイベントでもキッズプログラムが開催されていたので、今回は、思い切って連れて行ってみました。
落ち着きがなくなったり、うるさくしそうなら、すぐ自主退館覚悟です。
ファンデーの日は、子連れも多く、無料なので少し気が楽です。
(もちろん静かにできるお子様は普通の日でも。特に年齢の入館規制等はありません)
※国立西洋美術館では、写真撮影は、条件はありますが可能です。今回は、ファンデー以外の日に撮った写真も、掲載してます。常設展も、入れ替え等があると思いますので、ここで紹介したものがいつもあるとは限りません。 お目あての作品がある場合は、お出かけ前にご確認ください。
さて、ファンデーのプログラムの1つ「たのしいセイビぬりえ」です。
鑑賞の途中にコーナーがありました。好きな絵のぬりえの紙を選んで、自分で好きに色をぬっていきます。
ちなみに、国立西洋美術館➡︎セイビ です。
他に上野の博物館・美術館系の略称は
東京国立博物館➡︎トーハク
国立科学博物館➡︎カハク
東京都美術館➡︎トビカン
東京藝術大学 大学美術館➡︎ゲイビ
上野動物園➡︎ウエドー(※我が家での勝手な呼び方です。)
上野の森美術館➡︎ウエモリ(※パパの勝手な呼び方です。西郷隆盛像の隣にあるから)
少し脱線しました。
2歳娘が選んだ、ぬり絵は、こちら⬇︎
マリー=カブリエル・カペ 「自画像」 1783年頃
カペ 22歳の時の自画像だそうです。職業画家として成功した女性の一人で、肖像画の名手として評判よかったそうです。
肖像画って、実際より良く描かなければ評判にならない気がします。実際のカペさんも、こんなに綺麗な方だったのでしょうか?。と、余計なことを思ってしまいましたが、そんなことよりも、22歳でここまで描けるとは、やはり天才です。
John Everett Millais Ducklings ジョン・エヴァリット・ミレイ 「あひるの子」
2歳児は、1時間ほど静かに絵を鑑賞していました。意外にも楽しめたようです。
どういう訳か、子供が描かれている絵が気に入ったようで、子供が描かれた絵画を見つけては「子供、子供だね」と小さな声で言ってきました。
事前の予習におすすめ本(中高生〜大人向け)
国立西洋美術館 公式ガイドブック 淡交社
全てではないですが、常設展の作品の説明から、建築のみどころガイドや、セイビの歴史や学芸員の日々の仕事まで、コンパクトに紹介されています
あらかじめ、絵画を勉強して行ってもよし、当日、絵の前で解説として読んでもよし。80ページほどと薄く、当日手にもってまわるのにも適していると思います。
国立西洋美術館
開館時間:午前 9:30〜17:30(秋から、春までは、〜17:00。金曜は〜20:00)
基本、月曜休館
常設展:大人 430円 大学生130円 高校生以下無料
ファンデーは年に1回ほど開催予定。2016年以降のファンデーは未定とのことです。
【2015年6月、2016年4月お出かけ】