今回は、港区白金台にある自然教育園です。
笑点の司会者としても有名だった5代目三遊亭圓楽師匠の、目黒のさんまに
「その頃(江戸時代はじめ)の目黒は、今とは訳が違います。丘あり小川あり、実に風光明媚なところで〜」
でも実は今でも、目黒駅から徒歩約9分のところに、しかも山手線の内側に、都心とは思えない風光明媚な穴場スポットがあるのです。
それがこの国立科学博物館付属 自然教育園です。
我が家は、国立科学博物館の友の会(年間パス)に入っているので、こちらも無料で入れます。
面積約20ヘクタール。東京ドーム4個分以上。坪数でいうと約60,500坪(笑)。山手線の内側に残る貴重な自然の宝庫です。
これほど広大な自然教育園ですが、1度に入れるのは300人までと入園規制を設けています。紅葉や桜の時期は、入園規制で少し待つ場合があるかもしれません。
400年〜500年ほど前に作られたという土塁です。
ここは、もともと白金長者(名前がすごいですね)と呼ばれる豪族の屋敷跡地。土塁まで築かれていたとは、ちょっとした城だったのかもしれません。名前があったとしたら白金城?目黒城?あたりでしょうか。
その後、江戸時代は高松藩松平家の下屋敷を経て、明治時代は陸海軍の火薬庫に。大正時代からは、皇室の白金御領地として長く一般の人々が立ち入ることができなかったため、豊かな武蔵野の自然が残ったようです。
少し神秘的な感じのする、ひょうたん池
そばで写真を撮っていたおじさんが、娘に「ここで立っていてごらん。何か来るよ。」と教えてくれました。しばらくすると何やら近づいてくるものが。
亀が2匹来ました。誰かが餌付けをしているのでしょうか。何かほしそうに、見つめてきます。
こちらは、はきものを脱いで上がる、ちょっとした休憩所。
素足で上がって眺めるのも、なかなか気持ちいいです。隣では、お姉さん2人が寝転がって、くつろいでいました。
メダカ、モツゴ、ヨシノボリなどの魚も生息しているそうです。
ガサガサと、何やら少し大きな生き物が動く音がしました。カラスでしょうか、ヘビでしょうか。ここには、ホンドタヌキもいるようです。
池のそばで、「地面に咲いている花があったら、教えてね。」と娘に言っておいたら、「あったよーこれじゃない?」と教えてくれました。
そうです、ありました!!
これが今回のお目当の花「ナンバンギセル」、別名「思い草」です。
夏の終わり頃に、ススキの根元によく咲いています。
じつは、このナンバンギセル(南蛮煙管)、葉緑体をもたず養分をススキからもらっている寄生植物です。イネやサトウキビ、ミョウガなどにも寄生し、収穫量を減少させるという被害も出ているとか。
そんなナンバンギセルですが、古く万葉集はじめ、多くの和歌に詠まれています。
「道の辺の 尾花が下の思ひ草 今さらさらに 何をか思はむ」(万葉集 巻10–2270 作者不詳)
道ばたのススキのもとで、顔を下げ何かを思って、人知れず咲いている思い草。その思い草のように、私は今さら何を思い悩む必要がありましょう。(駄訳、パパ)
尾花とはススキのことなので、思い草とはこのナンバンギセルのことだと考えられています。
江戸時代、南蛮の煙管に似ているところから、つけられたであろうナンバンギセル。
昔人がつけた「思い草」という、少し寂しげでもある名前の方に、親近感を感じます。
国立科学博物館付属 自然教育園
Institute of Nature Study
〒108-0071 東京都港区白金台5−21−5
TEL:03−3441−7176
5月1日〜8月31日:9:00〜17:00(入園16:00まで)
9月1日〜4月30日:9:00〜16:30(入園16:00まで)
休園日:毎週月曜(月曜祝日の場合は火曜日休園)、祝日の翌日、年末年始
入園料:一般310円 高校生以下、65歳以上無料
JR、東急目黒駅より徒歩約9分 東京メトロ南北線、都営地下鉄三田線白金台駅より徒歩約7分
幼児のみの入園不可
入園は同時に300人までの入園制限あり